迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
第26話 羨望は嫉妬へ(ミリーネ視点)
「あとは父上が目覚めてくれたら良いんだけどね」
アーネストが切望していると、ノック音とともに扉が開いた。
入ってきたのは、先ほど案内をしてくれた執事だ。
「アーネスト様、お客様が到着されました」
「お客様ですって?」
ミリーネは八の字を寄せる。
「悪いけどエリンジャー家の者が訪ねて来たようだから、僕は失礼させていただくよ。今度うちで開く舞踏会の件で打ち合わせをするんだ」
「だとしても優先すべきは婚約者である私じゃない? まだ顔を合わせて十分も経っていないわよ」
先客はミリーネだ。せめてもう少し対応してから席を外すのが筋ではないだろうか。
いくら婚約者だとはいえ、これほど雑に扱われるのは納得がいかない。
ミリーネが目を尖らせると、アーネストは反論した。
「父上の治療を始める前に僕と四時間も一緒にいたじゃないか。食事もしたし、庭園の散歩もしたよね」
「それはそれ。これはこれよ! 疲れた私を労るのが婚約者の務めでしょ?」
アーネストは辟易とした様子でため息を吐く。
「これ以上君に割く時間はないよ。もともとエリンジャー家の者とは約束していたから、突然訪問されたわけでもないし。とにかく、心ゆくまで休んでいってね。僕はこれで失礼するよ」
「アーネスト様、待って!」