迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~

第21話 夏の庭で



「是非、お嫁様に似合う衣装を準備させてくださいまし! 渾身の一着をご用意するのでございますよ!!」
 服作りが趣味だというカロンにとって、今回は新しいドレスを作る絶好の機会のようだ。
 カロンは恍惚な表情を浮かべると、ため息を吐いてから空を仰ぐ。

「はあ、生地は何色にいたしましょうか。お嫁様の可愛いらしさを引き立てるためにはやはり寒色系が素敵にございましょう。舞踏会となればシャンデリアの下で煌めく金糸か銀糸が幻想的でございます。髪色に合わせるなら銀糸を差し色にするのが良さそうです。宝石を散りばめるのはマスト。あと、お互いの瞳の色に合わせて宝石を入れるなんていうのも粋でございますね。お嫁様はどう思われますか!?」

 カロンの頭の中はアイディアで溢れかえっているのだろう。早口で捲し立ててくる。
 フィリーネはカロンの高速な喋りに呆然と立ち尽くすしかなかった。

 どう思うか尋ねられても自分に何が似合うかや、ファッションの流行はさっぱり分からない。これは下手に意見するよりもカロンに任せておいた方が良いドレスができそうな気がする。

「ここはカロンさんのセンスにお任せします」
「ええ、ええ。もちろんでございます。お嫁様の可愛らしさを引き立てる最っ高のドレスをご用意いたしますので待っていてください!」

 カロンはよほど嬉しいのか壊れたブリキのおもちゃの如く、何度も激しく頷いた。やがて、我に返ると小さく咳払いをしてフィリーネに謝罪する。

「申し訳ございません、少々取り乱してしまいました」
「大丈夫です。気にしてま……」
「では、本日の授業はこれで終わりにさせていただくのでございます。それでは失礼いたします!!」

< 92 / 192 >

この作品をシェア

pagetop