私ばかりが本気だと思って別れを告げたら、完璧上司の余裕が崩れました【ヒロイン視点改稿版】

彼の本心

 それから数日間、佳穂は雅芳からのメッセージや着信を無視し続けた。会社ではもの問いたげな視線を向けられたが、これにも知らんぷりを決め込んだ。二人きりになりそうな状況も徹底的に避けた。

 最初の夜こそ両手両足の指では足りないほどの着信があったが、次第に頻度は落ち着いていき、佳穂はそのまま雅芳が諦めてくれることを願った。けれど、頻度は下がっても、彼からのアクションは決してなくなりはしなかった。

 ――どうして諦めてくれないの?

 指示された企画書の修正に一心不乱に取り組んでいるふりをしながら、佳穂はさり気なく課長席から投げかけられる視線に歯噛みしていた。
 一方的に別れを告げて連絡さえ全てシャットアウトする自分勝手な女など、すぐに追いかけるのをやめると思っていたのに。
 別れを告げた夜から一週間経っても、雅芳は呆れたり怒ったりする様子もなく、ただ困惑の眼差しを向けてくる。

 ――好ましい程度で付き合った女に、課長がここまでこだわる必要はないでしょう?

 内心で訴えてみても、もちろん彼に伝わるはずもない。
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