目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
episode17ーー銃爪
ある日の午後。

総務部のデスクで端末に向かっていた真由は、背後にそっと近づく足音に気づいた。

​「市川さん、少しお時間よろしいかしら」

​低く落ち着いた、けれどどこか氷のように滑らかな声。

振り返ると、そこには完璧な仕立てのグレーのパンツスーツを身にまとった秘書室長、高条香織が立っていた。

鷹司が副社長に就任して以来、彼の過密なスケジュールと重要案件を完璧に管理してきた、社内でも一目置かれる優秀な女性幹部だ。

​「高条室長。はい、何でしょうか」

​真由が立ち上がると、高条は周囲の社員に聞こえない絶妙な声量で、洗練された笑みを浮かべた。

​「来週の取締役会の資料、総務部で取りまとめてもらっている件だけど。副社長から『一部の数値データを差し替えたい』と追加のご指示があったの。急ぎで対応してもらえるかしら」

​
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