課長に恋してます!

30 がんばれよ。【石上】

 俺はつくづく人がいいんだと思う。一瀬と交換した航空券は香港からの直行便ではなく、上海経由で日本に帰るやつだった。
 おい、また上海かよ!そう一瀬に言いたかったが、泣きそうな顔をしているあいつには何も言えなかった。
 その瞳には俺なんて全く映っていない。
 あいつの中には上村課長しかいないんだって嫌でもわかった。

 日曜の夜に帰国すると、課長に会えたと、あいつから課長の写真付きでお礼のメールが届いていた。
 それを見て俺は一瀬との結婚を賭けた賭けに負けたことに自分でも驚くほどほっとした。

 月曜日出社すると、幸せそうな一瀬の顔があった。
 一瀬にそんな顔をさせるられるのは、上村課長だけなんだと思ったら、胸の奥が痛かった。
 
 その後は外回りに行って、夕方オフィスに戻って来た。
 幸せに浸ってるはずの一瀬は、午前中とは違い、暗い表情をしていた。
 斜め前の間宮にこっそり何があったのか聞くと――

「石上主任、メール見てないんですか?」

 呆れたような声で間宮が答えた。

「メール?」
「総務からのメールですよ」
 
 パソコンにログインしてメール画面を開いた。
 総務からのメールは昼過ぎに来てた。
 それは社内の全ての部署に送られたメールだった。

 内容は海外事業部の早川課長の件だった。
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