祝福のあとで
初めて迎える誕生日
海外に来てから、
いくつかの「ズレ」はあった。
連絡の時間。
眠るタイミング。
返事の速さ。
どれも、
決定的じゃない。
でも、
完全に気にしないほど小さくもない。
直とは、
毎日やり取りをしていた。
おはようも、
おやすみも、
変わらず届く。
それなのに、
どこかで、
同じ時間を生きていない感覚だけが残る。
——これは、慣れの問題だ。
ひかりは、
そう言い聞かせていた。
誕生日の朝も、
特別な期待はしなかった。
海外に来てから迎える、
直と一緒に迎えるはずの、
初めての誕生日。
平日で、
仕事があって、
夜はきっと、
一人で静かに終わる。
それでいい。
そう思えるくらいには、
大人になったつもりだった。
直からは、
いつも通りメッセージが届く。
『おはよう。
今日も忙しそうだな』
ひかりは、
少しだけ間を置いてから返す。
『うん。
そっちは?』
画面越しの会話。
——今日は、誕生日だよ。
その一言を、
打たずに消す。
言わなくてもいい。
言わないって決めた。
小さなズレを、
これ以上広げたくなかったから。
夜。
部屋に戻って、
シャワーを浴びて、
髪を乾かす。
鏡に映る自分を見て、
ひかりは、
一度だけ深呼吸した。
……大丈夫。
ちゃんと、
選んでここに来た。
そう思った、
そのとき。
ピンポーン。
いくつかの「ズレ」はあった。
連絡の時間。
眠るタイミング。
返事の速さ。
どれも、
決定的じゃない。
でも、
完全に気にしないほど小さくもない。
直とは、
毎日やり取りをしていた。
おはようも、
おやすみも、
変わらず届く。
それなのに、
どこかで、
同じ時間を生きていない感覚だけが残る。
——これは、慣れの問題だ。
ひかりは、
そう言い聞かせていた。
誕生日の朝も、
特別な期待はしなかった。
海外に来てから迎える、
直と一緒に迎えるはずの、
初めての誕生日。
平日で、
仕事があって、
夜はきっと、
一人で静かに終わる。
それでいい。
そう思えるくらいには、
大人になったつもりだった。
直からは、
いつも通りメッセージが届く。
『おはよう。
今日も忙しそうだな』
ひかりは、
少しだけ間を置いてから返す。
『うん。
そっちは?』
画面越しの会話。
——今日は、誕生日だよ。
その一言を、
打たずに消す。
言わなくてもいい。
言わないって決めた。
小さなズレを、
これ以上広げたくなかったから。
夜。
部屋に戻って、
シャワーを浴びて、
髪を乾かす。
鏡に映る自分を見て、
ひかりは、
一度だけ深呼吸した。
……大丈夫。
ちゃんと、
選んでここに来た。
そう思った、
そのとき。
ピンポーン。