迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
第17話 添い寝作戦
シドリウスの部屋は二階の一番奥にある。
扉の前で下ろされたフィリーネは、シドリウスと一緒に中に入った。
部屋の中は真っ暗だったが、シドリウスが手を上げるとたちまち灯りがともる。
オレンジの温かい光に照らされた室内は、屋敷の雰囲気と同様に落ち着いた設えだった。
フィリーネはシドリウスの使う魔法に見惚れていた。
人間は契約する精霊の魔法しか扱えない上、体内に魔力を宿していても精霊に気に入ってもらえなければ魔法が使えない。
しかし、竜人は自分の力だけで魔法を自由自在に扱える。
フィリーネは改めて竜人族の凄さを痛感した。
室内が明るくなったところで、フィリーネは壁際にあるキングサイズのベッドに目を向ける。本来の目的を達成すべく、肩にかけていたショールを取ってシドリウスの手を引く。
「シドリウス様、もう遅いですし早く一緒に寝ましょう?」
「ふううっ」
シドリウスが空いている方の手で口元を覆って呻き声を上げた。
長い睫毛を小刻みに震わせる。
「しっかりしろ。これは試練だ。試練は、乗り越えるのみ」
「ええ、大丈夫です。この試練を乗り越えたらぐっすり眠れますよ!」