意地悪な副社長に狂うほど愛される

エピローグ

数か月後、私は元の会社には戻らず、彼のもう1つの会社の旅行会社に転職した。
でも実はその会社は元々、私がいた場所でもある。
駿さんの祖父が最初に創立したあの会社だ。
結局、彼が引き受けることになった。

駿さんは結局、兄を社長にして自分は会長職に就いた。

それと私はなぜか、月に1回、元会長とランチをしている。
駿さんが一緒についてきてくれるが、1人の時もある。

「後輩! よく来たな」
「おじい様、そろそろ名前で呼んでください」

駿さんが元会長を軽く叱る。

「ああそうだな、あゆ美さん」
「ふふ、後輩でもいいですよ」

同郷で母校も同じということで「懐かしいなぁ」と言いながら話ができるからだろう。
もしかすると、私と駿さんを結んだキューピットはこの人かもしれない。

「何、にやにやしてるんだ」
「何でもない」

帰り道、私たちは2人で夜道を歩いた。

「まだ付き合ったばかりだし、こんなことを言うのはアレかもしれないんだけど」
「なんですか?」
「俺はキミと家族になりたいと思っているから」

その言葉は私の心臓に浸透して涙腺を崩壊させた。

「え、そんなに泣く!?」
「だって……」

私にとって家族という言葉は幻だった。
これから先の未来、私にも家族が出来る可能性があり、それが他でもない駿さんであることが嬉しくてたまらなかった。

「あゆ美!?」

私は顔をあげて、彼の頬に手を添えると何度もキスをした。
駿さんも私を抱きしめてキスをし返す。

「ああ、今日はたぶん寝させられない」
「まったく……今日もでしょ」

私たちはおでこを突き合わせて笑いあった。
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