【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?

閑話 『王都観光案内所にて』

~ユービィスト王国到着・初日~


 カララン~♪

『い~ら~っしゃ~い~ま~せ~』

 大きな大きなドアをくぐると、い草の香りがする涼しい店内から、やけに間延びした声が届いた。

 .....ヤギ?

 ヤギの獣人だろうか。喋り方や纏う香りで草食系かと勘が働く。おまけに尻尾も耳も.....角までヤギのそれだった。

「お客さま~は~、なにを~お探し~で~す~か~?」

 しっかり腰を折って礼をとり、接客してくれる。
 導かれるまま細長いデスク前の椅子に腰掛ける。

「あ....えっと数日お世話になれる宿を....」

「う~む~、あなた様は~失礼~で~す~が~、オオカミ獣人さま~で~、お間違いな~い~です~か~?」

「あ....っ、は、はいっ」

 ......良かった。『魔法薬』が効いてるんだ。


「それで~し~たら~。この~お宿~なんて~い~か~が~です~?」

「どれどれ?」

「お部屋の~形態が~と~っても~、多種多様なんで~す~。も~ちろ~ん、シンプル~な~お部屋も~ござい~ま~す~」

「なるほど....」

 ヤギ獣人さんが見せてくれたパンフレットには比較的富裕層が利用する宿が載っていた。

 高級感のある宿はやはり獣人向けで、大型種や小型種、種族の違いでも選びやすいよう部屋数が豊富。
 室内の半分が浴槽になっていて水がためられる部屋もあると説明され慄いた。.....何種向けなのか。カエル....とかだろうか。

 私はおおよそノーマルな部屋を依頼した。

「では~よや~くを~とります~ね~」

 この国では、案内所で宿の予約まで受け付けているらしい。早速その場で数日の予約をとった。



 このあとーー。

 《《予定外の事態》》が発生して、宿に到着したのは遅くなったが。

 部屋は希望通り。モーリャント王国でいうキングサイズのシンプルなベッドと鏡台、机などが置かれた空間だった。

 確かダブルサイズでお願いしたはずだが、こちらの人たちは身体が自国の人たちより大きいからきっとこれがユービィスト王国のダブルサイズなのだろう。


 そんなことを考えながら、これまた私にとっては一回り大きな浴槽に身を沈めて身体を清めーー倒れ込むようにベッドに入り眠りについたーー。
< 55 / 134 >

この作品をシェア

pagetop