『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
5.答え合わせ
(あれ、この会社ってコンサル費用払ってるのに、別にもいろいろ請求されてるんだ。おかしいな。過去のデータも確認しておこう)
紗月は前のめりになりながらパソコン画面を注視していた。
「永井さん、もう定時過ぎてるわよ」
隣の席から声を掛けられて、紗月はハッとする。
「もう、そんな時間だったんですね」
画面の片隅の時刻は十八時を少し過ぎていた。
「一日中画面とにらめっこで疲れたでしょう。今日はもう終わりにしてね」
彼女は寺西という四十代半ばの女性社員で、紗月の指導担当者だ。優しく促され紗月は「はい。ありがとうございます」と笑顔を返した。
紗月がここOGセラミック本社の経理部で働き始めたのは二週間前から。航生に『三か月だけ、うちで働いてみないか』と持ちかけられたのがきっかけだった。
経理部では新しい会計システムの構築が始まっていて、その対応に追われて伝票処理などの日常業務が滞りがちになっているらしい。そのフォローをしてほしいという話だった。
週三回の出社で、期間は三か月ほど。基本的に残業なしという好条件に紗月は飛びついた。