私を言葉で抱く年下作家の溺愛

③ 帰す気なんてねえよ

そして——三か月後。

雨宮蓮の新作『教室の女神』の原稿が、ついに上がった。

「後は校正に入りますね」

担当だったはずの木原君は、淡々と告げる。

「お願いします」

彼も、静かに頷いた。

そのやり取りは、あくまで仕事。

編集と作家。それ以上でも、それ以下でもない。

彼が久しぶりに顔を出した編集部。

周囲の視線が、自然と彼に集まっている。

新人賞を取ってから五年。

鳴かず飛ばずだった作家が、今、今年も新作を仕上げた。

その事実だけでも、空気は違っていた。

でも、私の目には、別のものが映っていた。

……疲れてる。どこか、張り詰めたままの顔。

それでも、崩れていない。

この三か月。どれだけ集中して書いたのか、分かる。
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