パーフェクト・ネイル ~憧れの上司に狙われている、かもしれません~
「遠坂主任って、結局、何フェチなんですか?」
「……ん?」

 ある日の飲み会帰り。

 終電には少し早い時間のためか比較的空いている電車内で、隣に座った遠坂 琉生の顔を見上げて質問する。

 飲み会には他のチームメンバーもいたが、同じ路線を使って同じ方向に帰るのは遠坂だけなので、今ここに他の見知った顔はない。

 初野 椛の問いかけに、こちらを向いた遠坂が首を傾げる。

「ああ、さっきの話か」
「はい」

 本当は仕事が終わったら、同じチームに所属する女子メンバーの白川・山本と三人で、合コンに参加する予定だった。

 だが定時まであと長針が一周という時間になって、至急の案件が発生した。営業担当からも『お得意様だから』と頼み込まれ、結局チーム総出で対応することになった。

 しかし提携先や委託先に連絡を取り、製造部や販売部とのスケジュール調整を行い、どうにか依頼達成の目途を立てた頃には、残業が三時間を超えていた。当然、合コンには間に合うはずがない。
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