愛するあなたを殺させないため、死に戻った私はこの恋を捨てると決めた
歪んだ想い
ヴィクトルもエリシアと同じく死に戻っていること、そしてロジェリオに毒を盛ったのが執事のザカリアスであることが判明した。
警戒すべき対象が分かったことと、同じ経験をした人がそばにいるというのは大きい。
弟の助言通り、ザカリアスとの接触を極力減らすようにしているものの、彼はこの家の全てを取り仕切る男だ。全く顔を合わせないというのは不可能だった。
朝食を終えたエリシアは、ゆっくりとお茶を飲むふりをしながら食堂で時間を潰していた。今日は、友人と外でお茶をする予定だ。早く自室に戻って支度をしたいのだけど、この時間はザカリアスが廊下にいる確率が高い。遭遇を避けるためには、もう少しここにいる必要があるのだ。
普段はヴィクトルが一緒に部屋まで行ってくれるのだけど、今日は朝一番に試験があるからとすでに家を出ている。
とはいえのんびりしていたら、約束の時間に間に合わなくなってしまう。会わないことを内心で祈りつつエリシアは渋々立ち上がった。
誰もいない廊下を足早に歩き、自室の前にたどり着いたところで声をかけられた。エリシアは小さく息をのむものの、平静を装って振り返る。
「エリシアお嬢様」
「……何かしら」
「本日は、ご友人とお出かけの予定でしたね。よければお送りいたしましょうか」
穏やかな笑みを浮かべて話しかけてくるザカリアスは、傍目には不審なところは全くない。その内側に狂気を秘めているなんて、誰に言っても信じてもらえないだろう。
だけどロジェリオを殺したのは、この男なのだ。
エリシアは声が震えないよう意識しながら、口を開いた。
「必要ないわ。今日はお天気もいいし、歩いていくつもりだから」
「そうですか。ではお嬢様が愛用の、白い日傘を用意しておかねばなりませんね」
警戒すべき対象が分かったことと、同じ経験をした人がそばにいるというのは大きい。
弟の助言通り、ザカリアスとの接触を極力減らすようにしているものの、彼はこの家の全てを取り仕切る男だ。全く顔を合わせないというのは不可能だった。
朝食を終えたエリシアは、ゆっくりとお茶を飲むふりをしながら食堂で時間を潰していた。今日は、友人と外でお茶をする予定だ。早く自室に戻って支度をしたいのだけど、この時間はザカリアスが廊下にいる確率が高い。遭遇を避けるためには、もう少しここにいる必要があるのだ。
普段はヴィクトルが一緒に部屋まで行ってくれるのだけど、今日は朝一番に試験があるからとすでに家を出ている。
とはいえのんびりしていたら、約束の時間に間に合わなくなってしまう。会わないことを内心で祈りつつエリシアは渋々立ち上がった。
誰もいない廊下を足早に歩き、自室の前にたどり着いたところで声をかけられた。エリシアは小さく息をのむものの、平静を装って振り返る。
「エリシアお嬢様」
「……何かしら」
「本日は、ご友人とお出かけの予定でしたね。よければお送りいたしましょうか」
穏やかな笑みを浮かべて話しかけてくるザカリアスは、傍目には不審なところは全くない。その内側に狂気を秘めているなんて、誰に言っても信じてもらえないだろう。
だけどロジェリオを殺したのは、この男なのだ。
エリシアは声が震えないよう意識しながら、口を開いた。
「必要ないわ。今日はお天気もいいし、歩いていくつもりだから」
「そうですか。ではお嬢様が愛用の、白い日傘を用意しておかねばなりませんね」