敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
第八章 本物の夫婦へ
シフトを終えて書店の通用口から一歩外へ出ると、夜のひんやりとした空気が頬をかすめた。
重い足取りのまま、トートバッグを肩へかけ直したそのときだった。
「陽咲」
突然名前を呼ばれ、ハッとして顔を上げた。
街灯のそばで壁を背にして立っていたのは、碧人さんだった。スーツ姿の彼は私を見つけると、ゆっくりこちらへ歩いてくる。
「碧人さん……どうしたんですか?」
「驚かせてごめん。近くで商談が終わって、ちょうど帰るところだったから、陽咲を迎えに来たんだ」
私が出てくるのを待っていてくれたのだと思うだけで、うれしくて仕方なかった。
整った容姿と、低音の優しい声、私を包み込むような温かい眼差し……。それらすべてを意識した途端、胸がキュンと高鳴ってしまう。
(……私、やっぱり碧人さんのことが好きなんだ)
気づいてしまったのだ。私たちは期間限定の偽装結婚をしただけなのに、私は碧人さんをそんなふうに見られなくなっている。心はいつの間にか彼でいっぱいなのだ、と。
「帰ったらすぐに夕飯を作りますね。今日のメインはガーリックバターチキンですよ」
「ありがとう。うまそうだな」
ナッツのサラダと野菜スープも作る予定でいる。彼がおいしいと言って食べてくれることに、最近はこの上ないよろこびを感じていた。
だけど……いつまでも一緒にいるわけにはいかない。
重い足取りのまま、トートバッグを肩へかけ直したそのときだった。
「陽咲」
突然名前を呼ばれ、ハッとして顔を上げた。
街灯のそばで壁を背にして立っていたのは、碧人さんだった。スーツ姿の彼は私を見つけると、ゆっくりこちらへ歩いてくる。
「碧人さん……どうしたんですか?」
「驚かせてごめん。近くで商談が終わって、ちょうど帰るところだったから、陽咲を迎えに来たんだ」
私が出てくるのを待っていてくれたのだと思うだけで、うれしくて仕方なかった。
整った容姿と、低音の優しい声、私を包み込むような温かい眼差し……。それらすべてを意識した途端、胸がキュンと高鳴ってしまう。
(……私、やっぱり碧人さんのことが好きなんだ)
気づいてしまったのだ。私たちは期間限定の偽装結婚をしただけなのに、私は碧人さんをそんなふうに見られなくなっている。心はいつの間にか彼でいっぱいなのだ、と。
「帰ったらすぐに夕飯を作りますね。今日のメインはガーリックバターチキンですよ」
「ありがとう。うまそうだな」
ナッツのサラダと野菜スープも作る予定でいる。彼がおいしいと言って食べてくれることに、最近はこの上ないよろこびを感じていた。
だけど……いつまでも一緒にいるわけにはいかない。