敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 バタンと扉が閉まり、室内には静寂だけが残された。
 張り詰めていた空気がなくなったのを感じながら、俺はソファーの背もたれに深く身体を預けて天井を見上げた。

(陽咲はきっと、ひどい言葉をひとりで受け止めて抱えようとしていたんだろうな……)

 陽咲のつらさを想像するだけで、胸が痛いくらいに締めつけられる。
 パーティーの夜、トイレから戻った彼女がどれほど悲しい気持ちであの場にいたのか。すぐに気づいてやれなかった己の不甲斐なさに、情けなさが込み上げてくる。

 利害の一致から始まった、期間限定の偽装結婚だと陽咲は信じているようだが、俺は最初から本気だった。俺にとって彼女は、絶対に失うことなど考えられない唯一無二の存在だ。

 もう二度とあんな悲しそうな顔はさせない。傷ついた彼女の心を、俺が全力で癒してみせる。

 ――陽咲、君を絶対に離さない。
 俺は強い決意を胸に、ソファーからすっくと立ち上がった。
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