こわもて専務の秘密の趣味 ~御曹司は愛する人を運命の糸でからめとる~
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「編み物フェア、この店も出店するって言ったっけ?」
 出勤直後に拓斗に言われ、彩羅は首を振った。
「いえ、初耳です」
「あーしは前にも聞いたかも」

「ごめん、言い忘れてて。糸条グループが主催で、手芸ショップ運営会社が協力して開催するんだ。編み物をメインにいろんなクラフトの展示があるよ。来てもらえる?」

「はい、もちろんです」
 以前、万葉が手伝ってほしいと言ってたのはこれなのか、と思いながら彩羅は頷く。

「出店って何するんですか? セールじゃないんですか?」
「展示場を借りて、他社も参加して開催するんだよ。そこにカフェとして店を出すんだ。俺はカフェの看板男子、きみたちは看板娘。がんばって」

「はーい」
「はい」
 娘っていう年齢じゃないんだけどな、と苦笑しながらも彩羅は答える。

「椛川さん。外見はもりもりにしないこと」
「つまんね」

「接客業だからね。お客さんの印象は大事だから。新しいネイル、かわいいよ」
「いいっしょ」

 拓斗に言われたマリリンが爪を見せつけてくる。薄いピンクをベースにしたシンプルなショートネイルだ。アクセントの白いドットがかわいい。

 自動ドアが開き、彩羅は「いらっしゃいませ」と声をかけた。
 手芸ショップにもカフェにもにつかわしくない、金髪を逆立てた男がそこにいる。
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