結婚してもおひとり様を貫きますから~俺様御曹司は孤独な契約妻に愛されたい~

やっぱりおひとり様がお似合い

「これ……」

 一斉に送信されてきたメールに、目が釘づけになる。国内最大級のコスメの祭典の概要だ。

 このイベントには、国内のコスメブランドを中心に様々な企業がブースを出展する。毎年春に開催されているもので、その年の新商品の先行お披露目のほか、目玉となる商品が発表される。

 グランドコスメは今年、〝ひんやり〟をキーワードにした商品をメインに出品した。その開発には、通常およそ二年の歳月をかけている。

 当日は一般客だけでなく、同じ業界の人間も多く足を運ぶ。さらに、国内外の人気インフルエンサーや海外ブランドの担当者の来場も多い。情報発信力の高いイベントになるため、出店する企業の力の入れようは相当大きくなる。

 あらためて、メールを読み込む。
 来年の企画についてはすでに動いているはずで、案内が回ってきたのは再来年のものだ。 

 これまでは企画部が中心となって進められてきたが、今回は部署を問わず募集して、コンペという形で主軸となる企画のコンセプトを決めるらしい。

「おもしろそう」

 会社として、初めての試みになる。
 もともと、私は企画部にいた人間だ。生みの苦しみは嫌というほど味わってきた。

 でもそれ以上に、新しい商品を考える楽しさを知っている。

「やってみたい」

 コンペに参加するからといって、通常の業務がなくなるわけではない。負担が大きくなることはわかっているが、絶対に挑戦したい。

 それからは、手が空くとどんなコスメがいいのかを考え続ける日々が続いた。

 自分がほしいものだけでなく、広く一般的に受けるもの。猛暑が続く中、〝ひんやり〟と銘打った商品の売れ行きは好調だ。そういう現状に合ったものが求められるだろう。
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