思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
5・名無しの少年【リガルド視点】
 少年は物心ついたとき、すでに劣悪な環境で膝を抱えて丸まっていた。
 じっとしているだけでは、食べるものや雨風を凌げる場所すら得られない。

 その事実を知ったのは、周りにいる子どもたちがなんの罪もない裕福な人々を襲撃し、金品を強奪する姿を目にしたからだ。

 誰かの背中に隠れて暮らすような弱者は、この街では長生きなどできない。
 他者を押しのけてでも自分だけが生き残りたいと考え、己だけがよければそれでいいとふんぞり返り、大人たちに媚びを売るのがうまい子どもだけが、生き長らえられるのだ。

 両親の顔すら知らず、名前すら与えられずに育った“名無し”の少年は、頼る人すらおらず独りぼっちで暮らしていた。
 生き残るためだけに他者を傷つけ、奪い取り、時にはゴミ漁りをして、誰の手も借りずにどうにか7歳まで成長した。

 だから――。
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