冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
恭司side
一方、その頃、恭司はと言えば……。
「もう二度と足を踏み入れるつもりはなかったんだがな」
新宮本家の門柱の前に佇んでいた。
しかしながら想像通りというべきか、門前払いされてしまった。
「そりゃあ簡単には入れてはくれないか」
もちろん想定内だったので、別の手段も講じてあるのだが、もうしばらく時間がかかりそうだ。
(待っても良いが……あいつのそばに順一がずっといるのは不快だな)
何よりも――美桜が孤独で不安がっているかもしれないのだ。
恭司は門から離れることにした。敷地内を囲む塀の周囲を歩いた先、瓦礫が崩れている場所を見つける。幼少期に時々屋敷を抜け出していた場所だ。現在は身長も190?近くあるので、どうにも通り抜けられそうにない。
「さすがに無理か」
そうして、等間隔で嵌められた鉄格子の先を見る。
三メートル近く高さがあるようだ。
「登るのは簡単だが、さすがに警備が作動するかな」
外観を眺める。おそらく鉄格子に荷重がかかるなり、鉄格子の先端なりに赤外線が探知する装置があるのだろう。
つまるところ、高跳びのように超えられさえすれば良い。待ちさえすえば、どうにかなるのは分かっているが……美桜のためにも急ぎたい。
考えていた。その時。
「にゃあっ」
鳴き声すると、空から黒い物体が降ってきた。
反射で恭司は抱っこする。
「おっと。ミオ、こんなとこまで着いてきてたのか……今度から首輪にGPSか何かつけておかないとな」
恭司が溜息を吐くと、黒猫ミオがにゃあと鳴いた。
「お前、どこから降って来た?」
「にゃあん!」
見れば、新宮家の敷地内に巨木が立っているではないか。
ちょうど真向いの通りにも高木が立っている。
黒猫ミオが高木から巨木へと飛び移る。
「なるほどな。枝から来たってところか。高いところは苦手だが、あれぐらいならいけるな」
そうして、通りの高木に足をかけて登る。
成人男性の体重がかかって、ミシリと音を立てた。
枝がしなった瞬間に隣の巨木の枝へと移動した。
そのまま幹を伝うと、地面に着地した。
「よし、ミオ、俺を案内してくれ」
「みゃあ!」
恭司は黒猫ミオの後を追って、囚われの美桜の元へと駆け出したのだった。