冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい
新宮家の屋敷にある大広間。200~300人程度は収容できそうな広さを有していて、舞台の壇上のようなものもあった。
壇の中央では新宮順一が立っており演説のようなものをしていた。階下には新聞社やテレビ局の記者たちがカメラを片手にずらりと並んでいる。
『この度は新宮一族の新会社の社長に就任させていただく運びになりまして……』
美桜はといえば、壇上の幕が下りた裏側に連れてこられ、椅子にちょことんと座らされている。
(まるで小学校の体育館みたいな場所。人がたくさんいて狭いし苦手だったのを思い出しちゃった)
久しぶりに着物を着付けたせいだろうか。帯を締めすぎたのか、なんとなくみぞおちのあたりが苦しい。どことなく吐き気もする。
(それにしても、なかなか逃げ出せそうにない。困っちゃったな)
背後には新宮家の黒スーツの人たちが立っていて見張られている状態だ。
逃げ出す機会を窺っているのだが、なかなか隙がない。
対角線上の向こう側には貴賓席が設けられており、そちらから父の視線も感じた。
(とにかく壇上に連れて行かれないようにしなきゃ)
拍手喝さいの中、演説を終えた順一が美桜の方へと戻ってくる。
どうやらこれからの時間は祝辞の時間のようだ。
「美桜ちゃん、どうやった、僕の話?」
美桜は俯いたまま答えた。
「……全然耳に入ってきませんでした」
順一が苦笑した。
「まあええか。美桜ちゃん、案外冷たいね」
「状況が状況なので……その……」
美桜はチラリと順一の顔を見上げると小声で話を進める。
「こんな風に連れてこられても、私の意志は変わりません」
「せっかくのお父さんの副社長の就任も兼ねてるんやで。それにしたってや」
「なんですか?」
「まあ、一応気を利かせておくけど、君の父さん、そんなに金持ちやないやろう。大企業の役職持ちではあるけれど。君が僕の色々を断ったとして、賠償金を請求されて払えると思うとるん?」
「……そんなの脅しです。それに賠償金なら私が払います」
「脅しやないで? 忠告や。こんだけ人が集まっとるのに恥かかされたら、俺の母親、あんなんやし、何するか分からへんで?」
「勝手に私を連れてきたのはそちらじゃないですか……!」
「ああ、挨拶中やから、もう少し静かにね」
順一が人差し指を唇に宛がうと、にっこりと微笑んだ。
「でないと、今から壇上に連れて行くで」
「……っ……」
「美桜ちゃん、ほんまにええ子やね」
美桜はひとまず騒ぐのを辞めた。
(今はまだ社長就任の話だもの……どうにか婚約披露までに何か考えなきゃ……)
ふと、貴賓席から父以外の視線を感じる。
ちょうど青い着物姿の女性が歩いて登場して着席していた。
どうやら視線の主は彼女のようだ。
すごく綺麗な日本人形のような黒髪の持ち主で、色白のキリリとした美貌の持ち主で、すごく目立っている。
(あれ……?)
なんとなく既視感を覚える。
「ああ、美桜ちゃん、あんまり気を悪うせんどいてね」
順一が話しかけてきたので、美桜は視線を送る。
「僕の元婚約者のお嬢様や。美桜ちゃんと義理の姉妹になるからって、会いに来たいって主張してきてね。別に仲が悪うなって破談になったわけやないし、案内させてもろたんよ」
ドクン。
(あの女性が……恭司さんと噂になっている……)
間近で見ると、ものすごく女優さんのように綺麗な女性だ。
美桜と義理の姉妹になるつもり……ということは、彼女自身は恭司と結婚する気満々だということだろう。
(すごく綺麗な女性……)
莫大な財産の持ち主で、しかもあんなに綺麗だなんて……。
(恭司さんとお似合いなのはあの女性だと思う。だけど……恭司さん本人から色々話を聞いたわけじゃないもの)
あの女性とのいざこざはそれからでも良いだろう。
まずは、この場所を切り抜けることが大切なのだから。
壇の中央では新宮順一が立っており演説のようなものをしていた。階下には新聞社やテレビ局の記者たちがカメラを片手にずらりと並んでいる。
『この度は新宮一族の新会社の社長に就任させていただく運びになりまして……』
美桜はといえば、壇上の幕が下りた裏側に連れてこられ、椅子にちょことんと座らされている。
(まるで小学校の体育館みたいな場所。人がたくさんいて狭いし苦手だったのを思い出しちゃった)
久しぶりに着物を着付けたせいだろうか。帯を締めすぎたのか、なんとなくみぞおちのあたりが苦しい。どことなく吐き気もする。
(それにしても、なかなか逃げ出せそうにない。困っちゃったな)
背後には新宮家の黒スーツの人たちが立っていて見張られている状態だ。
逃げ出す機会を窺っているのだが、なかなか隙がない。
対角線上の向こう側には貴賓席が設けられており、そちらから父の視線も感じた。
(とにかく壇上に連れて行かれないようにしなきゃ)
拍手喝さいの中、演説を終えた順一が美桜の方へと戻ってくる。
どうやらこれからの時間は祝辞の時間のようだ。
「美桜ちゃん、どうやった、僕の話?」
美桜は俯いたまま答えた。
「……全然耳に入ってきませんでした」
順一が苦笑した。
「まあええか。美桜ちゃん、案外冷たいね」
「状況が状況なので……その……」
美桜はチラリと順一の顔を見上げると小声で話を進める。
「こんな風に連れてこられても、私の意志は変わりません」
「せっかくのお父さんの副社長の就任も兼ねてるんやで。それにしたってや」
「なんですか?」
「まあ、一応気を利かせておくけど、君の父さん、そんなに金持ちやないやろう。大企業の役職持ちではあるけれど。君が僕の色々を断ったとして、賠償金を請求されて払えると思うとるん?」
「……そんなの脅しです。それに賠償金なら私が払います」
「脅しやないで? 忠告や。こんだけ人が集まっとるのに恥かかされたら、俺の母親、あんなんやし、何するか分からへんで?」
「勝手に私を連れてきたのはそちらじゃないですか……!」
「ああ、挨拶中やから、もう少し静かにね」
順一が人差し指を唇に宛がうと、にっこりと微笑んだ。
「でないと、今から壇上に連れて行くで」
「……っ……」
「美桜ちゃん、ほんまにええ子やね」
美桜はひとまず騒ぐのを辞めた。
(今はまだ社長就任の話だもの……どうにか婚約披露までに何か考えなきゃ……)
ふと、貴賓席から父以外の視線を感じる。
ちょうど青い着物姿の女性が歩いて登場して着席していた。
どうやら視線の主は彼女のようだ。
すごく綺麗な日本人形のような黒髪の持ち主で、色白のキリリとした美貌の持ち主で、すごく目立っている。
(あれ……?)
なんとなく既視感を覚える。
「ああ、美桜ちゃん、あんまり気を悪うせんどいてね」
順一が話しかけてきたので、美桜は視線を送る。
「僕の元婚約者のお嬢様や。美桜ちゃんと義理の姉妹になるからって、会いに来たいって主張してきてね。別に仲が悪うなって破談になったわけやないし、案内させてもろたんよ」
ドクン。
(あの女性が……恭司さんと噂になっている……)
間近で見ると、ものすごく女優さんのように綺麗な女性だ。
美桜と義理の姉妹になるつもり……ということは、彼女自身は恭司と結婚する気満々だということだろう。
(すごく綺麗な女性……)
莫大な財産の持ち主で、しかもあんなに綺麗だなんて……。
(恭司さんとお似合いなのはあの女性だと思う。だけど……恭司さん本人から色々話を聞いたわけじゃないもの)
あの女性とのいざこざはそれからでも良いだろう。
まずは、この場所を切り抜けることが大切なのだから。