軍医と傷読みの花嫁 ~閉じこもり薬師は、傷もちの旦那様に愛される〜
20話 望まれて生まれた子



「今日も実家に行くのか」
 軍服の金ボタンを留めながら将臣が尋ねる。
「はい。薬を一から作り直さねばいけませんので」
 凪が少し困ったように、けれど嬉しそうに答える。
「義父上の体調が戻って一安心だな」
「はい。一日も早くお店を再開できるよう、頑張ります」
「大変だな。……だが、生き生きしている凪を見られるのは嬉しい」
 凪は革鞄をぎゅっと抱え、恥ずかしげに俯いた。
「無理はするなよ。……気をつけて帰ってこい」
 凪の胸が、どきりと跳ねた。
(「帰ってこい」……その言葉ひとつに、将臣様の優しさが詰まっている)
 胸に押し寄せる温かな手触りを振り切るように、凪は明るい声を張った。
「はい! 行ってまいります!」









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