屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

十二章 今の君と今の俺~清正side

 俺は、まずは彼女の屋敷を守ること。そして、その間に屋敷を開発地域に指定させないことを心に決めていた。
 しかし、買主として夏音に会って分かったのは、夏音はやはり自分からこの屋敷も土地も売っていないという事実。やはり何か裏があるようだ。

 九条不動産の二人が何かをしたのは間違いない。

 このまま調査を進めるにあたって、夏音を一人にして大丈夫か? 何か直接危害が加えられるような事態にはならないか……。
 俺はそれに少し悩んでいたが、『でも、このままじゃ子どもたちが困るし……両親にも顔向けできません……。私はここを出て行きたくない。どんなことでもしますから!』と夏音が勢いよく言った。

『どんなことでも、だと?』
『……は、はい』

 彼女の目には、決意がにじんでいる。
 そんな夏音の顔を見ていると、この状況を利用しようというずるい考えが咄嗟に俺の脳裏に浮かんだ。

『俺の妻になるなら、この屋敷を君の生活圏として保障できる。少なくとも、第三者に追い出される心配はない』

 俺はそう言って、契約結婚の提案をした。たぶん人生で初めてといっていいくらい、無計画に口から出ていた言葉だ。
 夏音は戸惑っていたが、それを見ていると、俺はこの考えが確かにいいものじゃないかと思い始めていた。
 だって、契約でも結婚関係を結べば夏音を堂々と守れるし、その間に夏音が俺を好きになれば、本当に普通の結婚になるだろうからだ。いや、きっと好きにさせてみせる。
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