屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
そう言った玲子の意図を知った父親は納得して、俺は眉を顰めた。
つまりは、玲子は俺を落として結婚に持ち込む自信があるということらしい。昔あれだけ断ったにも関わらず……。
俺が結婚と聞いて、脳裏に浮かぶのは玲子ではない……昔から何度も見てきた笑顔。
最近になって再び追いかけるようになった九条夏音だ。
だからこそ彼女の大事なものを俺は守りたい。
俺はうんざりしながらも、この契約を早く締結させようと本気で思った。玲子はじっとりとした視線を向けてくる。
「この後、食事でもどうかしら。契約書の詳細を詰めたいの」
「本日、お食事をする時間があるのなら、その時間を使って契約書は作成できそうですね。契約書が完成しましたら、すぐにご連絡ください。その際に、また伺います」
俺はその誘いに乗ることなく、その場を後にした。
そして会社に戻りながらも、俺は自分のなすべきことが見えてきていた。