恋のメンテナンスは必要ですか?
第二十四話 「俺を、見て」
「えっ、はっ?」
液晶に向けていた真剣な目を彩に向け、樹はじっと彩の瞳を見つめる。
焦がれるような熱い視線に逸らすことさえできなかった。
これは、冗談……ではない。
本気で私のことを——。
彩の顔が戸惑うように目を大きく開き、視線を揺らす。
そばにいるのが当たり前で、そこに異性間の感情なんて抱いたことのなかった友人からの突然の告白にどう返すべきか言葉が見つからない。
「いつきが……私を?」
「お前は俺のことを異性として見たことなんてなかっただろうけど、俺は大学の時からずっと彩が好きだ」
全く気づいていなかった樹の想いに彩は真剣に耳を傾ける。
「元彼の話も知ってたから、気持ちを伝える機会を流し続けて今まで来てた。でも、彩が神崎さんと……男と毎朝出勤してるって聞いて。……耐えられなかった」
「あ……」
「……さっき言ってた一緒に住んでる知り合いって、神崎さんなんだろ」
「…………うん」
「付き合ってる、わけじゃないんだよな?」
樹は視線を下げる。
「うん……」
彼は下げた視線をゆっくりと上げて、力強く彩を見つめた。
「じゃあ……まだ俺は彩に、好きになってもらえる可能性があると思っていいよな?」
「……っ」
その瞳から逃げられない。
否定も肯定もできない。
「彩。……彩が好きだ。」
樹の体がゆっくりと彩に近づく。
自分の心臓がバクバクと激しく鳴ってうるさかった。
「俺を男として見てほしい」
「……っ…………」
その後のどうやって店を出たのか、はっきりとは覚えていない。
ただ赤く染まってしまった頬を下を向いて隠して、駐車場へ向かったことだけは記憶にあった。