恋のメンテナンスは必要ですか?
 *

 
「はい、お願いします……帰りは同僚に送って——」
 
 彩が翔との通話を切ろうすると店員が「失礼します」と簾(すだれ)をあげて顔を出す。
 
「お食事中失礼致します。お席の時間が残り三十分となりますがご注文はよろしいでしょうか?」

 電話中の彩が答えようとする前に、樹が先に言った。

「わかりました。彩、特にないよな?」
「あ、うん。」

 彩の答えを確認すると樹は店員に「大丈夫です」と会釈する。
「かしこまりました」と店員は去っていった。


『…………』
「遮ってすいません、えっと、あ、同僚に送ってもらうから大丈夫です」
『……うん、分かったよ。じゃあ気をつけて帰ってきてね』
「ありがとうございます」

 ——プツッ

 通話を切って樹を見ると彼はじっとアニメの液晶を見つめていた。

「ごめん、電話終わった」
「……ああ」
「……どうしたの?」

「………………」


 樹の顔が暗い。
 何が彼の顔を暗くしたのかわからず、心配になって顔を近づける。

「樹?」
「……彩。」
「ん?」


 
「俺、彩が好きなんだけど」


 
 不意に伝えられた想いに何も考えず答えようとした。

 
 
「……う…………ん?!」


 大学からの友人、職場の同僚。

 自分にとって一番仲のいい男友達からの突然の告白に、
 
 彩は口を開けて固まった。
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