花詠み ―雪中花―

第五話

 その週の週末。
 家族で地元の神社へと向かった。
 お祈りをし、お祓いを受けてお守りも購入した。

「優斗お願いがあるの。これを肌身離さず、いつも身に着けておいて」
「嫌だ! こんなの要らない!」

 優斗はなぜかお守りを身につけることに抵抗する。
 しきりに周囲を見回しているのは、みやを探しているのだろうか?

「優斗、誰か探しているのか?」
「なんでもない……」

 拓真は優斗の目の前で自分用に買ったお守りの紐を伸ばし、首に掛けた。

「俺もお守りをつけるんだ。これは母さんのためでもある」
「……じゃあ僕も母さんのためにお守りをつけないとダメなの?」

 拓真の顔と香苗が渡したお守りとを見比べる優斗。

「優斗は新しい学校に馴染めていないって聞いたぞ? だからみやさんは、優斗のことを心配しているのかもしれない。そんなみやさんのために優斗もお守りを持ったほうがいい」

 拓真は優斗にわかりやすく「みや」という存在を強調しながら説明した。
 優斗は「みやさんのため」と拓真に言われると、素直にお守りの紐を伸ばし、首にかけた。

「香苗もお守りを買わなくて本当にいいのか?」
「私は家に神棚があるから平気よ」

 香苗の言葉に拓真は「わかった」と答える。
 香苗も自分は大丈夫と思って疑わなかった。
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