恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
4
side久東帆高
「君を、私の子供として引き取りたい」
そう言われたのは、帆高がまだ小学校低学年の頃だった。
両親が乗っていた車が事故に巻き込まれ、二人とも呆気なく他界した。
たった一人取り残された帆高だったが、親が亡くなってから一度だって涙を流したことはなかった。
泣いたところで死んだ人間が生き返るわけでもなく、目の前の現実が変わるわけでもないと、幼心に悟っていたからだ。
両親は手広く会社を経営していたため、残された遺産や保険金のおかげで、帆高が一生生きていく上で金銭的に困ることはなかった。
だが、問題は別のところにあった。
幼い帆高を施設に入れるべきか、それとも誰か親戚が引き取るべきか…―。
線香の煙が燻る法要の隅で、親戚の大人たちが当事者である帆高の意思など完全に置き去りにしたまま、勝手に未来を押し付け合っていたのだ。
子どもになど、自分の人生を選ぶ決定権など最初から与えられていない。誰の元へ行こうと、自分の運命は大差ないのだろうと冷めた目で見つめていた。
両親の葬儀が終わり、一週間ほどが経過した頃だった。
祖父母の古い家で所在なく過ごしていた帆高の前に、一人の男がやってきた。
畳の上に座り込む小さな帆高を見下ろすと、その男はぽつりと呟いた。
「……兄貴に、よく似ているなぁ」
当然、帆高はその男の存在を知っていた。
だが、あまりに仕事が多忙を極めているらしく、実家に帰ってくることすら数年に一度あるかないかという人物だった。
先週の葬儀の際も、ギリギリで焼香にだけ駆けつけて立ち去っていった男。父親の実の弟だった。
ほぼ他人と言っていいその男は、高級なスーツの膝を床につけると、帆高の小さな目線に合わせるようにして真っ直ぐに自分を見つめてきた。
「君を、私の子供として引き取りたい」
そう言われたのは、帆高がまだ小学校低学年の頃だった。
両親が乗っていた車が事故に巻き込まれ、二人とも呆気なく他界した。
たった一人取り残された帆高だったが、親が亡くなってから一度だって涙を流したことはなかった。
泣いたところで死んだ人間が生き返るわけでもなく、目の前の現実が変わるわけでもないと、幼心に悟っていたからだ。
両親は手広く会社を経営していたため、残された遺産や保険金のおかげで、帆高が一生生きていく上で金銭的に困ることはなかった。
だが、問題は別のところにあった。
幼い帆高を施設に入れるべきか、それとも誰か親戚が引き取るべきか…―。
線香の煙が燻る法要の隅で、親戚の大人たちが当事者である帆高の意思など完全に置き去りにしたまま、勝手に未来を押し付け合っていたのだ。
子どもになど、自分の人生を選ぶ決定権など最初から与えられていない。誰の元へ行こうと、自分の運命は大差ないのだろうと冷めた目で見つめていた。
両親の葬儀が終わり、一週間ほどが経過した頃だった。
祖父母の古い家で所在なく過ごしていた帆高の前に、一人の男がやってきた。
畳の上に座り込む小さな帆高を見下ろすと、その男はぽつりと呟いた。
「……兄貴に、よく似ているなぁ」
当然、帆高はその男の存在を知っていた。
だが、あまりに仕事が多忙を極めているらしく、実家に帰ってくることすら数年に一度あるかないかという人物だった。
先週の葬儀の際も、ギリギリで焼香にだけ駆けつけて立ち去っていった男。父親の実の弟だった。
ほぼ他人と言っていいその男は、高級なスーツの膝を床につけると、帆高の小さな目線に合わせるようにして真っ直ぐに自分を見つめてきた。