俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない
11章 2人だけの処方箋

1話 ​薄紫色の夕空の下で

面会時間も終わりに近づく夕刻。

夕闇が街を包み込み始める屋上庭園は人影もなく、静寂に包まれていた。

​葵が風に当たりに外へ出た。

遠くの街並みを見下ろすベンチに律が腰掛けていた。

律は白衣を脱いだスクラブ姿だった。

律の膝の上には厚みのある医学の洋書が開かれている。

それでも律の視線はページではなく、薄紫色に染まる夕空に向けられていた。

​律は葵の足音に気づき、ページを開いたまま、静かに顔だけを向けた。

​「……こんな時間に1人で外へ出るな。夕風で体温が奪われる」

「律先生……。お邪魔でしたか?」

​律は無言のまま栞をページに挟み、ゆっくりと本を閉じ、隣のスペースをそっとあけた。

律は顎で座るよう促した。

​「……邪魔だと思うなら、最初からここに座らせない。早く座れ」

​相変わらず律の言葉の端々は淡々として冷徹ですらある。

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