俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない

3話 温かい掌

​夜。

病棟の隅にある小さな自動販売機コーナー。

​葵は温かい麦茶を買おうと自販機の前へやってきた。

小銭を入れてボタンを押そうとした瞬間、後ろからすっと伸びてきた長くてしなやかな手が、葵の代わりにボタンを押した。

​「あ……」

​振り返ると、白衣を脱いで片手に厚い洋書を抱えた律が立っていた。

​律は葵がガコンと音を立てて出てきた温かいお茶缶を取り出すと、それを葵に手渡すのではなく、まず自分の手で包み込んで温度を確かめた。

​「……まだ熱すぎる。少し待て」

​「律先生……。先生も自販機に?」

​「……執刀後のデータ整理が終わった後の息抜きだ。……たまたま通りかかったら、お前が無防備に立っていた」

​律はそう言いながら、自販機横の小さなベンチに腰を下ろした。

抱えていた洋書の上に適温になったお茶缶を置くと、顎で隣を指し示した。

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