熱の城
♜ 無自覚な夜
「そろそろ、出ようか?」
えっ? ……もう?
デザートを食べ終え、食後のコーヒーを飲み終えて、少したった頃だった。
あっ……。そう、だよね? 時計を確認すると、もう、こんな時間だ。
鈴木さんのお話が楽しくて、終わってしまうのが、とても寂しく感じてしまうなんて……。
「……はい、とても美味しかったです、今日は連れて来てくださり、ありがとうございました」
鈴木さんが、テーブルに置かれた呼び鈴を押すと、ウェイターがスッと現れて、レシートとカードと車のキーらしきものをテーブルに置いた。
んん?
「えっ? 鈴木主任、あのっ!」
いつの間にお会計してたの?
わたしは、あわてて鞄からお財布を出そうとしたら、タイガーは、片手でそれを制した。
「藤乃? 今日は、黙っておごられてくれる?」
えっ?