熱の城

 タイガーのキラキラした笑顔が、わたしを捕らえる。


「……」


 予想外の言葉に固まってしまった。

 意識してなかったこと、鈴木主任は、わたしの仕事ぶりをちゃんと見ていて、そう評価してくれていると言うこと?


「……ありがとう、ございます」


 嬉しくて涙が出そうになって、うつむいた。何で、わたしなんだろう? と、言う疑問が消えてゆく。 

 ちゃんと見ていてくれる人がいる。

 ちゃんと評価してくれる人がいる。

 それだけで、何もかも救われて頑張れそうな気がした。


「……ありがとうございました」


 鈴木さんは、泣きそうなわたしに気付かない振りをしてくれ、別の話をはじめた。

 それから、コースがどんどん運ばれて、食べている間鈴木さんは、営業先での面白い話や失敗談を少しずつ聴かせてくれた。

 それはとても楽しくて、時間が経つのがあっと言う間で、ずっと終わらなければいいのにと思うほどだった。



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