熱の城

「でも、それじゃあ……」


 オシャレで美味しいお店に連れて行ってくださいと、お願いしたのは、わたしの方なのに……。忙しい人に時間まで取ってもらって、更におごって頂くなんて、申し訳ないです。


「今日は、初めての営業会議のお疲れ様と、藤乃の専属祝いだからな!」


 まだ困った顔をしてるわたしに、鈴木さんは念を押すように言ってくれた。これ以上の遠慮は、かえって失礼になってしまうだろう。


「……っ、ご馳走さま、でした」


 おずおずと、鈴木さんの顔を見て言うと、車らしきキーを片手ですくい上げて、タイガーは、にっこりと笑う。


「送るよ? 車をこっちに回して来てもらったから」


 送るって……、イヤ、はい? 


「ま、待ってください!」


 鈴木主任あなた、さっきまで、わたしと一緒にお酒飲みませんでしたか!?



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