熱の城

♜ 熱の城


 気付いたら手に、スマホを握りしめて、駅までの道を走っていた。


『藤乃、好きだ……』


 耳に残る熱っぽくかすれた、タイガーの声と真剣な眼差し。頭の中がクラッとして、よろけそうになり立ち止まる。


「……はぁ、……っ」


 息を整えてスマホの画面を見つめる。出張中の鈴木主任が、出るわけないのに、受話器をタップしてしまう。

 何が何だかわからない、こんな自分、知らない。これから、どうしたいかなんて分からない。

 今はただ、彼の声が聴きたくて……、苦しくて、上手く息が出来ない。


「……鈴木、さん」


 会いたくて、声が聴きたくて、その大きな手で触れて欲しい。つい昨日の事なのに、どうかしている。

 熱い……。彼が、……タイガーが、身体中に残した痕が、熱く火照ってて苦しい。

 お願い、助けて?


 こんなの、まるで…―――


『―――…はい』


 !!??



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