熱の城

 コール八回目で、彼の声が耳に届く。

 突然の事に、ドキンッと自分の心臓が跳ね上がった。


「あっ、……えっ?」


 わ、わゎっ! 出ちゃったよ、つながっちゃた、どうしょう!!

 かけたから出るのは当たり前なのに、何を話すのかも考えていなかった自分に、何やってるのよ! と突っ込まずにはいられない。


「……あっ、あの、……すみません突然」

『藤乃? どうした?』

「……っ」


 ただ、あなたの声が聴きたかっただけ、だなんて、こんな忙しい人に言えるワケがなくて……。


「あの……」


 けれど、上手い口実なんて、すぐには出てこないから……。どんどん頭の中が混乱してきて、言葉が続かない。どう、しよう……。


「……っ」


 ヤだ、泣きそう。


『……藤乃、今どこにいる?』



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