【第一部完結】転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜
第4話:失敗……?
『へぇ。いいだろう、話を聞こうじゃないか。それで、対価は?』
「もし、ほしつゆくさを、わけてくれたら。わたしは、あなたに──へいわな〝みらい〟を、やくそくする」
『平和な未来?』
ルドウィジアは虚を突かれたように目を見張った後、『あはははっ!』と声を上げて笑い出した。
『なにを言い出すかと思えば、なんだい、それ? 僕を馬鹿にしているのかな? あぁ、そろそろ子供のお遊びにつき合うのも疲れてきたよ』
「ばかになんて、してない! わたしは、しんけんに、いってる!」
セレスティアはこぶしを握り締めて必死に訴えると、視線をルドウィジアの背後へと向けた。
「ひとのくらしが、みだれたら、しぜんも、こわされちゃう。あなたがタイセツにしてる、このみずうみ、だって……」
『世迷い言の次は、脅し文句かい?』
「おどしじゃない、じじつだよ。ひとと、ようせい。おなじトチにいきている、いじょう、むかんけいじゃ、いられない。あなたはそれを、だれよりも、よくしっているんじゃない?」
問いかけられたルドウィジアは、余裕の微笑みから一転し、苦虫を噛みつぶしたように顔を歪めた。
『……あのお喋りなシルフめ。他人の過去を、ぺらぺらと』
情報通のシルフは、ルドウィジアが『ちょっと前に引っ越してきたよそ者』だと言っていた。
その言葉が気になって、彼女たちから詳しく話を聞いたのだ。
「あなた、すこしまえは、ちがうもりに、いたのよね? でも、ごねんまえに、すみかを、うしなった……」
『ああ、そうだよ。蝗害で飢えた人間が少しでも収穫を増やそうと、僕が住んでいた森を焼いて耕作地にしようとしたんだ。愚かだよね。いくら畑を増やして作物を育てたって、すべて死骸虫に食われてしまうのにさ』
木々の燃え滓や灰が雨で流れ込み、ルドウィジアが住んでいた湖は以前と比べものにならないほど汚れてしまったという。
それでも通常なら、水辺に生えている星露草がゆっくりと水質を改善していく。
しかし汚染が浄化の速度を上回り、ついに湖は取り返しがつかないほど穢れてしまったのだそうだ。
ケルピーは清らかな水のそばでしか暮らせない。
そのためルドウィジアはこの森に行き着くまで、さまざまな土地を渡り歩かねばならなかったのだと、苦しげに過去を語った。