【第一部完結】転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜
第6話:苦悩するアルフレッドに届いた知らせ
王都からリシャール公爵邸に帰還して早二週間。
帰宅した直後に過労で倒れてしまったアルフレッドだが、翌日にはベッドから起き上がり、遅れを取り戻すように執務に取り組んでいた。
(【分析の結果、死骸虫に対する効力は認められず】か……)
部下から届いた報告書を読み終え、アルフレッドは目頭を押さえてため息をついた。
もはや自国の製薬技術と薬材だけでは有効な駆除剤を開発できぬと思い、異国の薬師や医師、研究者にも協力を仰いでいるが、いまだ芳しい成果は得られていない。
そもそも死骸虫はグランフェリシア王国以外にも生息してはいるものの、他国では蝗害を危惧する存在ではないため、専用の駆除剤の開発はおろか、研究すらろくにされていないという。
ではなぜグランフェリシア王国にだけ、こんなにも大量発生するのか。
原因については、これまでさまざまな仮説が立てられてきた。
その中で、現在もっとも有力視されているのが〝霊脈説〟である。
死骸虫は、この土地の地下に縦横無尽に走るエネルギーの奔流──〝霊脈〟の影響を受け、生命力および繁殖力が活性化されているという学説だ。
昔から、妖精や神などの目に見えない霊的な存在を提唱する学者は多い。
だが現実主義のアルフレッドにとって、こういった超自然的な話は眉唾に思えてならなかった。おそらく幼少期から、根拠に乏しい発言を諫められ、童話などの物語に触れることすら禁じられてきた影響だろう。
とはいえ、霊脈説以上に有力な学説はないため、現在は渋々これを参考にしている。
霊脈のエネルギーに影響を受けて変異した死骸虫。それに対抗する駆除剤を作るためには普通の材料だけでは足りず、霊的なものへの干渉力がある薬材が必要だと学者たちは言っているが……。
「そんなもの、どこにあるんだ……」
思わず口からこぼれた弱音にハッとし、アルフレッドは後ろ向きな考えを振り払うように首を振った。
災厄は今この時も、刻一刻と迫ってきている。
愚痴をこぼしている暇などない。
ものの数分で休憩を切り上げ再びペンを走らせていると、書斎にノックの音が響き、ジェラールが姿を現した。