【第一部完結】転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜
──【話が通じにくいからといって、妖精の言葉を無視したり否定したりしてはいけないよ。異なる種族、価値観だからこそ、根気よく対話を続けることが大切なのさ】
頭によぎった前世の祖母の言葉。
セレスティアは胸に手を当て、心の中で告げる。
(根気よく対話を続けることが大切……おばあちゃんの言った通りだったよ。大事なことを教えてくれて、ありがとうね)
星露草を痛めてしまわぬよう、マリアベルから受け取った鞄にそっと仕舞う。
「よし! これを、おとうしゃまにわたせば、カイケツだね!」
『ちょっと、お待ちなさいな。なんて言って渡すつもりなんですの?』
「ん? 『これ、しがいちゅうに、きくよ』って」
額を押さえ、『あちゃあ』と言わんばかりの渋い顔をするマリアベル。
「え? え? だめ?」
『いいこと、セレスティア。よーく考えてみなさいな。あのアルフレッドが、三歳児の持ってきた得体の知れない雑草を、薬の材料として前向きに検討してくれるとお思い?』
「うっ……ムリかも……」
『でしょう? それに死骸虫のことを口に出せば、なぜ知っているのかと問い詰められますわよ』
「ふぇぇ、それはこまるっ! ん~、じゃあ、どうしよう……」
『アルフレッドがなにかのきっかけで星露草の効果に気が付いて、自分から興味を持ってくれればいいんですけどねぇ……』
「こうかに、きづいて……キョウミ…………あっ!」
『なにか、いい案を思いついたんですの?』
「うん! あのね。まず、おにわで、ほしつゆくさをそだてて。にわしの、もーりすおじさんに、キョウミをもってもらうの。それでね、もーりすおじさんから、おとうしゃまに──」
一生懸命説明していたその時、そばで会話を聞いていたシルフたちが『あっ!』と一斉に叫んだ。
「わわっ、びっくりした! なに? どうしたの?」
『ほらほら、見てちょうだいナ』
『空が明るくなってきているわヨ』
『お屋敷に帰らなくて大丈夫なノ?』
シルフたちが指差す方を見ると、暗闇に包まれていた空がわずかに白みはじめていた。
「たいへん! いそがなくちゃ! しるふのみんな、きょうは、ありがとうね。──ばいばい!」
『またネ、セレスティア!』
『気をつけて帰るのヨ~』
『ばいば~イ!』
夜明けの空の下、大きく手を振りシルフたちに別れを告げたセレスティアは、マリアベルとともに屋敷へ向かって駆け出したのだった。