【第一部完結】転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜

第9話:転生幼魔女は生き延びたい!


 翌日、セレスティアは朝食の席でクリスティーヌから、アルフレッドが王都へ旅立ったことを伝えられた。

(きっと死骸虫のお薬を作るためだよね)

『おそらく、そうですわね。実は昨日、アナタが寝た後、屋敷に学者らしき男が来たんですのよ』

(そうなの?)

『ええ。うるさくて起こされたから、ついでにその学者と一緒にアルフレッドの部屋に入って話を聞いたんですの。で、どうやら学者たちも、星露草の成分が死骸虫に効くと気付いたらしいですわ。すぐに王都で薬の研究を始めるみたいでしたわよ』

(そっかぁ。よかった。どうかうまくいきますように)

 祈りを捧げていると、食事を取る手が止まっていたからだろう。クリスティーヌが案じるような面持ちでセレスティアの顔を覗き込んでくる。

「セレスティアさん? 大丈夫ですか?」

「ふぇ? あっ、えへへ。ぼんやりしてた」

 セレスティアは笑顔で応え、再び朝食を口に運びはじめる。
 無事に駆除剤ができるか不安でそわそわしてしまうものの、暗い顔をしていたらクリスティーヌたちに心配をかけてしまう。

(わたしが今できるのは、お父様を信じて、元気にお帰りを待つこと!)

 そう自分に言い聞かせて、セレスティアはその日もいつも通り明るく過ごすのだった。




 アルフレッドがリシャール公爵邸に戻ってきたのは、それから一月あまりが経った頃。
 久しぶりに家族全員で夕食を取った後、アルフレッドが珍しく「話したいことがある」と言って、セレスティアとクリスティーヌを食後のお茶に誘った。

 ダイニングルームから談話室へと移り、それぞれ柔らかなソファに腰を下ろす。

 家族の憩いの場として誂えられた室内は、落ち着いたブラウン系の色合いで統一されており、足元の絨毯からソファの座面、クッションに至るまでふわふわ。

 カップから立ち上る白い湯気。カモミールティーの優しい香りに包まれ、自然とまぶたが重くなっていく。

(いけない、いけない)

 セレスティアは首を軽く振り、目を見開いて襲い来る睡魔に抗う。
 三歳児の活動限界時間が近づいている。早く話をしてくれないと、寝落ちしてしまいそうだ。

「おとうしゃま、おはなしって、なぁに?」

 問いかけると、はす向かいに座るアルフレッドはカップをソーサーに置き、真剣な眼差しでクリスティーヌとセレスティアを見つめた。

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