元プロバンドマンの部下は、私に気づかない~まさかの再会オフィスラブ~
エピロ-グ その先の景色
プレゼンルームの照明が点いた。


「以上になります。ご静聴、ありがとうございました。」


そう言って、和那は、居並ぶクライアントの面々に深く一礼すると、手元のモニタ-のリモコンをゆっくり置いた。


「相変わらず・・・素晴らしいですね。」


クライアント側の責任者が、感心したように声を上げた。


「ありがとうございます。」


和那は落ち着いた笑みを浮かべる。その後の質疑応答は全て想定内。用意してきた回答を澱みなく返す。


(イケる。)


確信があった。会議室の空気が、もう決まっている。果たして


「では、この方向で進めましょう」


クライアントの声に迷いはなかった。


「ありがとうございます。ご期待に添えるよう尽力いたします。」


和那は笑顔で、静かに頭を下げた。会議室を出ると


「さすがですね、南澤さん。いつものことながら、完璧です。」


隣の部下が、感嘆した声を出す。


「特別なことなんて何もない。ただ準備しただけ。それに勝るものなんて、何もないよ。」


答えた和那に


「心得てます。」


部下は力強く頷く。


「じゃ、帰ろう。」


その答えに満足したように、微笑を浮かべて、和那は歩き出した。
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