こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
4.びしょ濡れ
この女性は確か今日の主役である伊集院社長の孫。
隼人と結婚したがっていた女性だ。
だからといって、これはない。
遥は眉間に皺を寄せながら、化粧室の鏡の前に向かった。
あーあ。今日はせっかくリリーにメイクしてもらったのに。
別人ですか? って聞きたくなるほど目も大きくしてもらって、アイシャドウにもラメを入れて光の屈折で皺が目立たないようにしてくれて。
髪もくるくる可愛く巻いてもらったのに、びしょ濡れで台無しだ。
「隼人さんにどうやって取り入ったか知らないけれど、早く帰りなさいよ!」
ざまぁみろと高笑いしている彼女には申し訳ないけれど、庶民はこんなことじゃ泣き寝入りなんてできないのよ。
こっちは会社がかかっているんだから!
「私と彼はね、将来を誓い合うって決まっているのよ」
これから誓うという変な言い回しが少し気になったが、特にツッコむことなく、遥は中途半端に落ちてしまったメイクを水道水できれいさっぱり洗い流した。
別に顔を売りにここへ来ているわけでもないし、婚活中でもない。
すっぴんだろうが、びしょ濡れだろうが、正直どうだっていいのよ。
リリーが綺麗にまとめてくれた髪もほどき、濡れた髪を絞った。
ドレスの裾のレース部分だけ絞っても、水がポタポタと床に落ちる。
バケツで水をかけてくれたからしっかり濡れてしまったが、ドレスが黒でよかった。
おかげで大事な部分は透けずにすんだから。
「えーっと、伊集院社長のお孫さん?」
「違うわ。パパが社長になったの」
ドヤ顔しているけれど、別にあなた自身は偉くもなんともないのよね。
遥は肩をすくめると、仁王立ちしながらお嬢様を見下ろした。
「それで?」
「えっ?」
「私を濡らして、それで? 次は?」
私が泣きながら帰ったあと、隼人にまとわりつこうって魂胆でしょ?
「残念だけれど、帰ってあげないわ」
化粧室を出た遥は、ずぶ濡れのままズカズカと廊下を進み、会場へ。
黒服に入場を断られそうになったが、遥がジロッと睨むと、若い黒服は何も言わずに会場の中に通してくれた。
「えっ、ちょっと待ちなさいよ!」
お嬢様、馬鹿ね。
濡れた私を追いかけてきたら、あなたが犯人だってわかっちゃうじゃないの。
会場で隼人を見つけた遥はまっすぐ隼人を目指した。
ずぶ濡れの姿に驚いた人たちに避けられても、気にせず歩き続ける。
隼人に告げ口されると思ったのか、お嬢様は慌てて遥の腕を掴んだ。
「お帰りはあっちよ」
「まだ帰らないけれど?」
「そんな姿で会場にいたら迷惑……」
「夏だからすぐ乾くと思うわ」
遥はお嬢様の手を振り払い、隼人の方へ歩く。
「……えっ?」
隼人と目が合った瞬間、遥は背中をドンッと突き飛ばされた。
隼人と結婚したがっていた女性だ。
だからといって、これはない。
遥は眉間に皺を寄せながら、化粧室の鏡の前に向かった。
あーあ。今日はせっかくリリーにメイクしてもらったのに。
別人ですか? って聞きたくなるほど目も大きくしてもらって、アイシャドウにもラメを入れて光の屈折で皺が目立たないようにしてくれて。
髪もくるくる可愛く巻いてもらったのに、びしょ濡れで台無しだ。
「隼人さんにどうやって取り入ったか知らないけれど、早く帰りなさいよ!」
ざまぁみろと高笑いしている彼女には申し訳ないけれど、庶民はこんなことじゃ泣き寝入りなんてできないのよ。
こっちは会社がかかっているんだから!
「私と彼はね、将来を誓い合うって決まっているのよ」
これから誓うという変な言い回しが少し気になったが、特にツッコむことなく、遥は中途半端に落ちてしまったメイクを水道水できれいさっぱり洗い流した。
別に顔を売りにここへ来ているわけでもないし、婚活中でもない。
すっぴんだろうが、びしょ濡れだろうが、正直どうだっていいのよ。
リリーが綺麗にまとめてくれた髪もほどき、濡れた髪を絞った。
ドレスの裾のレース部分だけ絞っても、水がポタポタと床に落ちる。
バケツで水をかけてくれたからしっかり濡れてしまったが、ドレスが黒でよかった。
おかげで大事な部分は透けずにすんだから。
「えーっと、伊集院社長のお孫さん?」
「違うわ。パパが社長になったの」
ドヤ顔しているけれど、別にあなた自身は偉くもなんともないのよね。
遥は肩をすくめると、仁王立ちしながらお嬢様を見下ろした。
「それで?」
「えっ?」
「私を濡らして、それで? 次は?」
私が泣きながら帰ったあと、隼人にまとわりつこうって魂胆でしょ?
「残念だけれど、帰ってあげないわ」
化粧室を出た遥は、ずぶ濡れのままズカズカと廊下を進み、会場へ。
黒服に入場を断られそうになったが、遥がジロッと睨むと、若い黒服は何も言わずに会場の中に通してくれた。
「えっ、ちょっと待ちなさいよ!」
お嬢様、馬鹿ね。
濡れた私を追いかけてきたら、あなたが犯人だってわかっちゃうじゃないの。
会場で隼人を見つけた遥はまっすぐ隼人を目指した。
ずぶ濡れの姿に驚いた人たちに避けられても、気にせず歩き続ける。
隼人に告げ口されると思ったのか、お嬢様は慌てて遥の腕を掴んだ。
「お帰りはあっちよ」
「まだ帰らないけれど?」
「そんな姿で会場にいたら迷惑……」
「夏だからすぐ乾くと思うわ」
遥はお嬢様の手を振り払い、隼人の方へ歩く。
「……えっ?」
隼人と目が合った瞬間、遥は背中をドンッと突き飛ばされた。