こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
16.知人
最近出会ったと言ってしまえば、私が玉の輿を狙っていると思われるだろう。
だから昔からの知り合いというのが無難。
誰が見ても明らかにスペックが高い隼人が一目惚れしたと言うことで、私が財産狙いだと言われないようにしてくれたのだろう。
でも、昔知り合うのは無理じゃない?
ロサンゼルスにいたのでしょう?
「彼女のお父さん、先代社長に20年以上前から世話になっていたので」
「20年前って子どもじゃないか」
はははと笑う柘植会長は冗談だと思っているみたいだ。
「えぇ。日本にいるときに知り合って。それからたびたび彼女のお父さんに相談に乗ってもらっていたんです」
なるほど。出会いは子どもの頃で、そこから定期的に連絡を取っていたといえば、ロサンゼルスと日本で拠点が離れていても不自然ではないってことね。
いつからこんな設定を考えていたのだろうか。
こっちも口裏を合わせるから、教えてくれればいいのに。
「子どもの頃から彼女はとても活発で、誰にでも優しくて」
眩しくてなかなか話すことができなかったと隼人は笑う。
嘘にしては上手すぎる設定に、柘植会長も夫人もあっさりと騙された。
「結婚式には呼んでね」
「はい。ぜひ」
ではまたあとでと去っていった柘植夫妻を見送った遥は、隣の隼人を見上げた。
「結婚詐欺師になれそうね」
「気に入らなかったか?」
「よく思いついたと感心したわ」
遥は身体の向きを変え、再び手すりに掴まる。
まるで独り占めしているかのような夜景は、東京ゲートブリッジとスカイツリーだ。
こんな景色、船からでしか絶対に見られない。
「……本当だったら?」
「え?」
隣で手すりに頬杖をつきながら景色を見ている隼人の表情は良く見えない。
本当って?
子どもの頃に本当に会ったことがある?
それとも父にお世話になっていたことだけ本当?
「ねぇ、お父さんとは……」
頬杖をやめて振り向いた隼人は、なぜか寂しそうに見えた。
「九十九社長、少しお時間いいだろうか?」
「先ほどはありがとうございました」
遥に声をかけてくれたのは、健康管理アプリでアラートは出るのかと質問してくれた年配の男性だ。
名刺には地域医療構想アドバイザー 醍醐英寿と書かれている。
医師会と地域医療構想アドバイザーの関係性がまったくわからないが、医療とついているので関連があることは間違いないだろう。
「医師会でも動画広告を検討したいのだが、資料をメールで送ってもらえるだろうか?」
「はい。ぜひ送らせてください」
健康管理アプリは資料があるけれど、動画広告部分はないから急いで作らないと。
会社は一週間休みだから、私が作るしかないよね。
どうせなら最新の画面がいいけれど、ヤスがいなくても起動できるだろうか。
「今までアプリなんて縁のない世界だったから新鮮でね」
「私も医療は縁がなくて、初めて知ることばかりでした」
虫歯や風邪を引いた時くらいしかお世話にならないと遥が話すと、醍醐はそうだろうねと笑ってくれた。
だから昔からの知り合いというのが無難。
誰が見ても明らかにスペックが高い隼人が一目惚れしたと言うことで、私が財産狙いだと言われないようにしてくれたのだろう。
でも、昔知り合うのは無理じゃない?
ロサンゼルスにいたのでしょう?
「彼女のお父さん、先代社長に20年以上前から世話になっていたので」
「20年前って子どもじゃないか」
はははと笑う柘植会長は冗談だと思っているみたいだ。
「えぇ。日本にいるときに知り合って。それからたびたび彼女のお父さんに相談に乗ってもらっていたんです」
なるほど。出会いは子どもの頃で、そこから定期的に連絡を取っていたといえば、ロサンゼルスと日本で拠点が離れていても不自然ではないってことね。
いつからこんな設定を考えていたのだろうか。
こっちも口裏を合わせるから、教えてくれればいいのに。
「子どもの頃から彼女はとても活発で、誰にでも優しくて」
眩しくてなかなか話すことができなかったと隼人は笑う。
嘘にしては上手すぎる設定に、柘植会長も夫人もあっさりと騙された。
「結婚式には呼んでね」
「はい。ぜひ」
ではまたあとでと去っていった柘植夫妻を見送った遥は、隣の隼人を見上げた。
「結婚詐欺師になれそうね」
「気に入らなかったか?」
「よく思いついたと感心したわ」
遥は身体の向きを変え、再び手すりに掴まる。
まるで独り占めしているかのような夜景は、東京ゲートブリッジとスカイツリーだ。
こんな景色、船からでしか絶対に見られない。
「……本当だったら?」
「え?」
隣で手すりに頬杖をつきながら景色を見ている隼人の表情は良く見えない。
本当って?
子どもの頃に本当に会ったことがある?
それとも父にお世話になっていたことだけ本当?
「ねぇ、お父さんとは……」
頬杖をやめて振り向いた隼人は、なぜか寂しそうに見えた。
「九十九社長、少しお時間いいだろうか?」
「先ほどはありがとうございました」
遥に声をかけてくれたのは、健康管理アプリでアラートは出るのかと質問してくれた年配の男性だ。
名刺には地域医療構想アドバイザー 醍醐英寿と書かれている。
医師会と地域医療構想アドバイザーの関係性がまったくわからないが、医療とついているので関連があることは間違いないだろう。
「医師会でも動画広告を検討したいのだが、資料をメールで送ってもらえるだろうか?」
「はい。ぜひ送らせてください」
健康管理アプリは資料があるけれど、動画広告部分はないから急いで作らないと。
会社は一週間休みだから、私が作るしかないよね。
どうせなら最新の画面がいいけれど、ヤスがいなくても起動できるだろうか。
「今までアプリなんて縁のない世界だったから新鮮でね」
「私も医療は縁がなくて、初めて知ることばかりでした」
虫歯や風邪を引いた時くらいしかお世話にならないと遥が話すと、醍醐はそうだろうねと笑ってくれた。