こじらせCEOの壮大すぎる初恋計画 〜二代目女社長、冷徹なライバルに理不尽な政略結婚を迫られたはずが、すべては22年前からの策略でした!?〜
「ほら、呼ばれているぞ」
くくっと笑っている目の前の男の髪を引っ張ってやりたい。
船に乗るときに言っていた「がんばれよ」ってこのこと!?
迎えに来た黒服のあとに続いて前方へ。
初めてお会いする柘植会長にお辞儀をした遥は、緊張する間もなく登壇した。
「ただいまご紹介に預かりましたツクモソフトの九十九遥です」
こんな貴重な会に呼んでくれてありがとうという定番の挨拶から、先ほどの話がためになったこと。
そしてヤスが作った健康管理アプリのダウンロード数や、これから脳トレの機能を組み込む予定だという説明を遥は行った。
事前に教えてくれれば資料だって準備したし、ダウンロード数も最新の数字を伝えられたのに!
「動画を閲覧すると脳トレのパズルゲームや囲碁・将棋のゲームが1回余分にできるようになります」
年配向けのためゲームの難易度は低めに設定し、達成感を重視。
さらに血圧や薬の情報も登録することで、飲み忘れや、逆に飲んだことを忘れてしまわないような機能も充実していると遥は説明した。
「そのアプリは明日何時から歯医者だとか、そろそろ歯医者に行きませんか? みたいなアラームを出すことは可能ですか?」
「現在の機能では、予定は入れられますが、そろそろ行きましょうというアラームはありません。ですが、開発中のアプリに組み込むことは可能です。貴重なご意見ありがとうございます」
前向きに検討させていただきますと遥が答えると、白髪の男性はふむふむと何かを考えているようだった。
どうか新しい取引先になりますように!
その後も質問がいくつかあったが、遥が答えられる質問ばかりでホッとした。
盛大な拍手の中、遥は窓際の席に戻る。
文句のひとつでも言ってやろうと思っていたのに、隼人の「よくやったな」の一言で、怒る気が失せてしまった。
締めの挨拶が行われ、ここからは自由にお過ごしくださいと言われた遥は隼人に誘われてデッキへ。
涼しいとは言えない夜風だったが、素敵な夜景と水の音で、遥の心は緊張から解き放たれた。
「教えて欲しかった」
もっといいプレゼンができたはずなのにと遥はデッキの手すりにつかまりながら不貞腐れる。
「堂々としていたし、わかりやすかったぞ」
「でも資料とか」
「いや、あんな感じの方がいい」
それは長年の経験なのだろうか。
それでも心の準備は欲しかった!
「私はあなたみたいに人前で話すのには慣れてないのよ」
もちろんカンペもほしいし、事前に練習だってしたいくらいだ。
「九十九さん」
女性の声で呼ばれた遥は手すりに片手を置いたまま、振り返る。
先ほどの柘植会長と一緒にいる年配の女性が、今日招待してくれた柘植会長夫人なのだと遥はすぐに察した。
「先ほどの説明、とても分かりやすくてよかったわ」
「ありがとうございます。このような機会をいただけてうれしいです」
遥が手すりから手を離し、深々とお辞儀をすると、なぜか隼人の手が遥の腰に添えられる。
この場面で婚約者アピールは必要ないでしょ。
この手はなんなのよ。
「先日は風邪を引かなかったかしら」
「はい。丈夫なだけが取り柄なので」
あのくらい平気ですと遥が笑うと、柘植会長夫人はまるで孫を見るかのように優しく微笑んでくれた。
「今日集まった人たちは動画広告に賛同してくれたよ」
「ありがとうございます!」
「あと医師会も興味を持っていたから。さっきアラートの質問をしていた人があとで来ると思う」
「期待してもいいですか?」
「ははは。いいと思うよ」
柘植会長もいい人だ!
どうしよう。めちゃめちゃうれしい!
「間宮くんが急に婚約したと聞いて驚いたが、こんなに素敵な女性なら納得だ」
「馴れ初めを聞きたいわ」
このための腰の手か!
婚約者アピールが抜かりないのね、この男。
「彼女とは昔から知り合いで。ようやく口説き落としたんですよ」
爽やかな笑顔でその嘘は何!?
急にそんな設定を言われても困るんですけど!
隣で平然と話す隼人を見上げながら、遥は設定を覚えなくてはと会話に集中した。
くくっと笑っている目の前の男の髪を引っ張ってやりたい。
船に乗るときに言っていた「がんばれよ」ってこのこと!?
迎えに来た黒服のあとに続いて前方へ。
初めてお会いする柘植会長にお辞儀をした遥は、緊張する間もなく登壇した。
「ただいまご紹介に預かりましたツクモソフトの九十九遥です」
こんな貴重な会に呼んでくれてありがとうという定番の挨拶から、先ほどの話がためになったこと。
そしてヤスが作った健康管理アプリのダウンロード数や、これから脳トレの機能を組み込む予定だという説明を遥は行った。
事前に教えてくれれば資料だって準備したし、ダウンロード数も最新の数字を伝えられたのに!
「動画を閲覧すると脳トレのパズルゲームや囲碁・将棋のゲームが1回余分にできるようになります」
年配向けのためゲームの難易度は低めに設定し、達成感を重視。
さらに血圧や薬の情報も登録することで、飲み忘れや、逆に飲んだことを忘れてしまわないような機能も充実していると遥は説明した。
「そのアプリは明日何時から歯医者だとか、そろそろ歯医者に行きませんか? みたいなアラームを出すことは可能ですか?」
「現在の機能では、予定は入れられますが、そろそろ行きましょうというアラームはありません。ですが、開発中のアプリに組み込むことは可能です。貴重なご意見ありがとうございます」
前向きに検討させていただきますと遥が答えると、白髪の男性はふむふむと何かを考えているようだった。
どうか新しい取引先になりますように!
その後も質問がいくつかあったが、遥が答えられる質問ばかりでホッとした。
盛大な拍手の中、遥は窓際の席に戻る。
文句のひとつでも言ってやろうと思っていたのに、隼人の「よくやったな」の一言で、怒る気が失せてしまった。
締めの挨拶が行われ、ここからは自由にお過ごしくださいと言われた遥は隼人に誘われてデッキへ。
涼しいとは言えない夜風だったが、素敵な夜景と水の音で、遥の心は緊張から解き放たれた。
「教えて欲しかった」
もっといいプレゼンができたはずなのにと遥はデッキの手すりにつかまりながら不貞腐れる。
「堂々としていたし、わかりやすかったぞ」
「でも資料とか」
「いや、あんな感じの方がいい」
それは長年の経験なのだろうか。
それでも心の準備は欲しかった!
「私はあなたみたいに人前で話すのには慣れてないのよ」
もちろんカンペもほしいし、事前に練習だってしたいくらいだ。
「九十九さん」
女性の声で呼ばれた遥は手すりに片手を置いたまま、振り返る。
先ほどの柘植会長と一緒にいる年配の女性が、今日招待してくれた柘植会長夫人なのだと遥はすぐに察した。
「先ほどの説明、とても分かりやすくてよかったわ」
「ありがとうございます。このような機会をいただけてうれしいです」
遥が手すりから手を離し、深々とお辞儀をすると、なぜか隼人の手が遥の腰に添えられる。
この場面で婚約者アピールは必要ないでしょ。
この手はなんなのよ。
「先日は風邪を引かなかったかしら」
「はい。丈夫なだけが取り柄なので」
あのくらい平気ですと遥が笑うと、柘植会長夫人はまるで孫を見るかのように優しく微笑んでくれた。
「今日集まった人たちは動画広告に賛同してくれたよ」
「ありがとうございます!」
「あと医師会も興味を持っていたから。さっきアラートの質問をしていた人があとで来ると思う」
「期待してもいいですか?」
「ははは。いいと思うよ」
柘植会長もいい人だ!
どうしよう。めちゃめちゃうれしい!
「間宮くんが急に婚約したと聞いて驚いたが、こんなに素敵な女性なら納得だ」
「馴れ初めを聞きたいわ」
このための腰の手か!
婚約者アピールが抜かりないのね、この男。
「彼女とは昔から知り合いで。ようやく口説き落としたんですよ」
爽やかな笑顔でその嘘は何!?
急にそんな設定を言われても困るんですけど!
隣で平然と話す隼人を見上げながら、遥は設定を覚えなくてはと会話に集中した。