仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
あいまいに壊れる境界
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「おはようございます、清水様。本日このあと大雨の予報になっております。大きめの傘をご用意しておりますがお持ちになられますか?」

クラルテのメインロビーにて、すっかり顔なじみになった入居者と言葉を交わす。

「ああ、成田さん。いつも助かるよー。帰りには止んでいればいいんだが」

「予報では夕方には晴れ間が見えるとのことです。お気をつけていってらっしゃいませ」

背中を見送り姿勢を正した瞬間に、内線の音がせわしなく響いた。


「はい。コンシェルジュデスク、成田でございます」

『クリーニングお願いします。あー、それと、明後日のディナーショーってまだチケットありますかね? もとの予定がキャンセルになったから行こうかなって。できれば一等席がいいんですけど』

「かしこまりました。クリーニングのピックアップと明後日のディナーショーのチケットの手配でございますね。あいにく一等席は完売しておりますが、主催者側に掛け合ってみます。午前中には折り返しのご連絡を差し上げますのでお待ちくださいませ」

内線を切り、すぐに手配を始める。

ディナーショーは、会場の広さに対してかなり余裕を持った定員の数になっていたはず。
座席の配置さえ調整できれば、まだ対応はできるはずだ。
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