仄暗いほど重たい愛 ~偽装妻ですが、冷血御曹司は手放す気がないようです~
もし間に合わない場合を考えて、予備のルートを三つは用意しておこう……。
そう考えた直後に、再び内線がかかってくる。
「すみません、代わりに応対をお願いします」
別のデスクにインカムでそう伝えてから作業に戻った。
なんとかチケットの枠を押さえると、今度はさらに別のデスクからの内線が回ってきて────。
クラルテでの一日は、基本的にその流れの繰り返しだ。
覚えることがとにかく多いし、一瞬の判断ミスも許されないという緊張感か凄まじい。
けれど、そのぶん、ひとつの要望をこなすたびにたしかな充実感がある。
異動する前と比べて、自分がいきいきして感じられた。
夜見社長が……─
───統悟さんが私を見つけてくれたおかげだ。