鬼同期が家だとオカンだったし、その後スパダリに進化した

32.鬼同期は半年経って

 その後も仕事中は特に変わりはなかった。

 引き続き忙しくて、いちゃつく余裕はないし、私は元々仕事中は感情スイッチオフだし。


 それはそれとして、昼は一緒にお弁当を食べることが増えたから、付き合っていることに気づく人もいた。

 戸部(とべ)先輩を筆頭に、丹沢(たんざわ)先輩とか秦野(はたの)ちゃんとか。

 (ゆかり)くんはそもそも昼時に社内にいることが少ないから、気づいているのかどうかもわからない。課長も昼は外に出てることが多いし。

***

 九月の連休は一緒に休みを取った……のに、その直前になって私は風邪を引いた。


「ぐう……いい歳して風邪引くとか……ぜんぜん風邪の時期じゃないのに」

『忙しかったから、疲れが出たんだろ。グランピングは日程を連休の後半に変更しといたし、今日明日休んだらそのまま連休だし、おとなしく寝とけよ』


 昼休み、ビデオ通話を繋げてくれた紫月(しづき)が、画面の向こうで苦笑しながらそう言った。


 仕方ない。

 連休に向けて仕事は概ね片付けてあったし、午前中に電話とメールで紫月と戸部先輩に引き継ぎは済ませてある。紫月の言うとおり、おとなしく寝ておこう。


『炊飯器の内釜に、「おかゆ」ってメモリがあるだろ? それの通りに米と水入れて炊くとおかゆになるから、作って食え。鮭フレークと塩と海苔があれば美味く食えるだろ』

「炊飯器って便利なんだねえ。炊いてくる」

『そうなんだよ。便利なんだよ炊飯器。じゃあ俺は仕事に戻るから』

「うん、ありがと」


 風邪のときに一人で寝てるのは心細いけど、台所から聞こえてくるおかゆが炊けるこぽこぽという音や、ふわっと漂うごはんの匂いに包まれていたら、あっという間に眠ってしまった。

***

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