結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。

2.

 別れ際、アーヴィンは「シオドアに見舞いの品だ」と言って、茶葉を手渡してきた。これは私が美味しいと言った隣国トリアスのお茶である。
「本日は、お招きいただきありがとうございました」
「あぁ、シオドアにはよろしく伝えてくれ」
 この場にいる他の人たちに、私たちの特別な関係を気取られないように振る舞うが、心の中ではお互いの芝居に笑いたくなってしまった。もしかしたら、私もアーヴィンも、意外と舞台役者に向いているのかもしれない。
 屋敷に着いたらすぐにシオドアとリンダのいる離れへと向かった。アーヴィンがシオドアを気遣って用意してくれた茶葉は、きちんと彼に渡すべきだろう。
 部屋の扉をノックすると、リンダが扉を少しだけ開け、その隙間から顔をのぞかせてきた。
「ただいま、リンダさん。王弟殿下からお見舞いの品をいただいたの。それをシオドアに渡したくて」
「あ、はい……」
 小動物のような動きで扉を大きく開けたリンダに「ありがとう」と声をかけて、部屋の中へと入る。
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