結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「ただいま帰りました、旦那様。体調のほうはいかがでしょうか?」
「ふん、相変わらずわざとらしい」
「その言葉は褒め言葉として受け取っておきます。こちら、アーヴィンからのお見舞いの品です。次は旦那様も是非と言っておりましたが……こればかりはわかりませんよね? また、体調を崩すかもしれませんし」
 シオドアは小さく舌打ちしたが、それを無視して、今度はリンダに向き直る。
「リンダさん。王弟殿下から茶葉をいただきましたの。シオドアと二人でお飲みください。それでは、私はこれで。ごきげんよう」
 スカートの裾を持ち上げ、二人に挨拶をした私は、さっさと主屋にある自室へと戻った。
「あぁ~、疲れたわ」
 エマしかいないのをいいことに、着替えを終えた後は、だらしなくソファに身体を預ける。
 疲れたというのはアーヴィンとの茶会ではなく、たった今、離れでシオドアとリンダに挨拶をしてきたこと。せっかくアーヴィンと楽しい時間を過ごしたというのに、それがすべてシオドアと話をして吹っ飛んでしまった。後にすればよかったと思ったものの、いいやなことをずるずると後回しにしたらずっと気になってしまうから、すぱっと終えたかった。
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