エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
第10話 伯父からの電話
航大くんには出てもいいと言われたけれど、私は一度着信を切った。ここは観覧車の中だし、目の前には彼もいる。絶対に彼絡みの電話だ。
だが、観覧車を降りるとそれからすぐに後悔した。私は伯父には逆らえない。逆らえないはずなのに着信を切ったのだ。かけ直しをした時になんて言われるか……
「少し電話してきます」
「うん。全然いいよ……俺はそこのベンチで待ってるから」
航大くんは近くにあるベンチに行ったのを確認して震える指で伯父の連絡先をタップした。ベンチからも離れ、建物の影に行くとスマートフォンを耳に当てる。
背中に彼の視線が刺さるように感じながら、私は必死に声を平静に保つ。
「――はい」
「遅い。なぜ切った?」
「申し訳ありません、航大さんと出かけていて車に乗っていました」
「そうか、なら仕方ない。……それよりも悠南、状況はどうだ?」
伯父の声は相変わらず温度がない。感情を完全に排した、ただ目的だけのための言葉。
かすかに聞こえるグラスの音や低い話し声から、どこかの高級バーかレストランにいるのだろうか?対照的に私のいるこの場所は、遊園地だが比較的に静かな場所だ。夜風があたり少し肌寒い。