迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~

第24話 ピンクスピネルの指輪



 到着した広場は、多くの人が集まって賑わいをみせていた。
 一画には様々な屋台が軒を連ね、軽食や雑貨などが売られている。

 とりわけ多く見られたのは魚の串焼きだ。テネブラエ湖は魚がよく捕れるため、町の名物になっているとシドリウスが教えてくれた。
 味はさっぱりとしていて、身はふわふわしているのだとか。どこからともなく漂う香ばしい匂いは、通行人の食欲を刺激する。
 フィリーネも屋敷でコーディアルとクッキーを食べてこなければ、ここで魚の串焼きを買っていたかもしれない。

 屋台の端から端まで歩き終えたところで、楽団による演奏が始まった。
 広場の中央ではうら若い男女が集まり、楽しそうにダンスを踊っている。

「フィー、俺たちも一緒に踊ろう」
「ええっ!? 私たちもですか?」

 誘われたフィリーネは面食らった。
 シドリウスと踊るのは成人してからで、まだ先だと高を括っていた。
 まさか今日踊ることになるなんて予想だにしなかった。

 ダンスは毎日練習しているけれど、未だに音楽と合わせては踊れない。今朝だって散々な結果だった。
 流れてくるのは知っている曲でもないし、どう踊るのが正解か分からない。

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