迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
第30話 成り代わり
「おまえにぴったりの服を持ってきてあげたんだから感謝しなさい。それで、おまえが着ているその素敵なドレスは今から私が着るの。宝飾品も忘れないで」
これはカロンが自分のために一生懸命作ってくれたドレスだ。他の人に着られるのは憚られる。
しかし、長年虐げられてきたフィリーネは反射的に従ってしまった。
大人しくドレスを脱いでミリーネに渡す。そして自身はお仕着せに袖を通した。
「何をボサッとしているの? 着替えるのを手伝いなさい」
「はい、お姉様」
ミリーネの着替えを手伝うフィリーネ。
自分のために作られたドレスを他の人に着られるのは悲しかった。
やりきれない思いが心を覆う。
しかし、すぐにその感情は吹き飛んでしまった。
何故なら、ミリーネがあまりにも美しかったからだ。
自分ではこうも綺麗に着こなせまい。思わず見とれてしまう。
「腰回りと胸の部分がきついけど、まあ動けなくはないわね。上質な生地を使っているから着心地が良いわ」
姿見の前でひらりと回転したミリーネは自身の姿を見て満足げだ。
「あとはこの髪をどうにかしないとね。髪飾りもつけるから寄越しなさい」
そう言いながらミリーネは、クローゼットからあるものを取り出す。
それは白銀色のかつらだった。ミリーネはかつらを被ると馴染むように整える。
「どうして私と同じ髪色のかつらを被るのですか? お姉様自慢の金髪を隠すなんて勿体ないです」
それにミリーネは白銀色の髪を忌避していたではないか。
わざわざ被る必要がどこにあるのだろうか。
困惑していたら、ミリーネがにんまりと笑った。